一つの作品が完成するには、多くのスタッフの力が必要となる。『コードギアス 反逆のルルーシュ』もまた例外ではない。さまざまなプロフェッショナルの力が一つの結晶となり、『コードギアス』という作品に輝きを宿らせたのである。
プロデューサー河口佳高 僕らの仕事は“おもしろさ”をつくること

「プロデューサーというのは、一言で説明すると商業的な目標まで含めた上で作品全体を見るポジションです。作品そのものに力を注ぐ監督とは車の両輪のような関係で、協力して作品の成功を目指すわけです」

プロデューサーの仕事をそう説明するのは河口佳高プロデューサー。河口がプロデューサーの仕事として重要なこととしてまず挙げるのは「企画を浮上させること」。なかでもオリジナル企画を浮上させるのはなかなか大変なことだという。


「サンライズという会社は漫画原作とかではなく、オリジナル作品を制作することを大事に考えている会社なんです。でも、オリジナル企画というのは関係者にその魅力をわかってもらい、出資を集めたり、放送を決めたりするのがなかなか難しい。なぜかといえば、企画の時点である程度は固まっていても、漫画のようにはっきりとした内容があるわけではないので。
そういう企画をどう魅力的に見せて、関係者を説得するか。プロデューサーの仕事の多くは、この“浮上”で占められていると思います。ただ『コードギアス』の場合は、バンダイビジュアルの湯川淳プロデューサーが奔走してくれたり、大人気のCLAMPさんがキャラクター原案を引き受けてくれたりと、“援軍”が多かったので、浮上は思いのほかスムーズでしたが」

企画が浮上し、制作が動き出せば今度はスタッフと、具体的にどう作るかを話し合うのも仕事の一つになってくる。

「僕らの仕事は要は“おもしろさ”を作る仕事なんですよ。だからたとえば、監督に『○○っておもしろくない?』という思いつきを投げかけた時に、監督がそれに刺激を受けて『それならばこうしたほうがもっとおもしろくない?』という調子でどんどんおもしろさをふくらませていくのを見る時は、仕事をしていて楽しい時です」

そんな河口が新たに手がける作品が、『コードギアス亡国のアキト(仮)』だ。



監督は『天空のエスカフローネ』の赤根和樹が担当する。初めてコードギアスに携わる赤根氏を起用したのは、果たしてどういう狙いか。

「『亡国のアキト』で目指すことの一つは、『コードギアス』の世界を広げること。谷口悟朗監督と大河内一楼さんには原作というかたちで関わってもらいつつ、また新しい世界を作りたいと考えています。そこで男性的な作風の谷口監督とはまた違い、繊細な作風の赤根監督に監督をお願いしました。キャラクターは今回もCLAMPさんの原案、木村貴宏さんのデザインですが、演出が変わることでまた印象が変わってくるのではないかと思います。現在作業を進めていますが、赤根監督も『コードギアス』の特徴をいろいろ分析した上で参加していて、非常におもしろい内容になっています」

スタッフの顔ぶれを決めるのもプロデューサーの仕事の一つ。新たな顔ぶれによる新たな『コードギアス』がスタートする。