キャラクターもメカニックもともに手がける。それがメインアニメーターの中谷誠一の特徴だ。どうしてメカもキャラクターも手がけるようになったのだろうか。
「こだわり、というほどのものじゃないんですが、大変お世話になったアニメーターの中に高谷浩利さんのようにキャラもメカも上手な方が居られて目標にしてきました。そこからさらに遡ると、やっぱり『機動戦士ガンダム』の安彦良和さんの存在が大きいです。安彦さんは、ガンダムのキャラだけでなくメカも、全部作画用にキャラ表を起こしているわけですしね。ある意味、究極の存在かな、と」
とはいえ、メカとキャラクターの“分業”が定着している現在のアニメ業界にあってメカもキャラクターもOKというアニメーターは、なかなか珍しい存在となりつつある。
「現在のアニメに要求される精度や密度、それにスケジュールからすれば、メカとキャラの作画作業が分かれてしまうのは当然だと思います。だから、というわけじゃないですが、『コードギアス 反逆のルルーシュ』では、各話ごとの比重はそれぞれですが、メカもキャラクターも作画できて楽しかったです」
ナイトメアフレームは描いていて楽しかった、という中谷。一方キャラクターでは、「そうそうたるキャラクターが並ぶ中、とがったところがない普通のキャラクターという部分を表現するのが難しかった」というシャーリーが印象に残っているという。
それにしても、キャラクターもメカもともに描きたいという意欲はどこから生まれてくるのだろうか。
「うーん、好奇心ですかね。たとえば最近、原画で参加したのは、ある動物ものなんです。動物ものはあまりやったことがありませんでした。いままで関わったことの無かった会社でもありましたが、その分新しい出会いもあると思いその作品に参加してみようと思ったんです。だから、好奇心を持って、なんでも機会をとらえて挑戦していくというのは、自分の幅を広げるという意味で、大事なことだなと思っています」
自分の幅を広げられるよう興味関心を保つこと。
それもまたプロフェッショナルの条件の一つ、なのではないだろうか。