全4幕にて2024年5月より毎月連続で劇場上映中の「コードギアス」シリーズ最新作『コードギアス 奪還のロゼ』。最終幕の大ヒットを記念して2024年8月20日(火)、新宿バルト9にて『コードギアス 奪還のロゼ』最終幕スタッフトークイベントつき上映が開催された。本編上映後のトークショーには大橋誉志光監督、キャラクターデザインの島村秀一さん、メカニックデザインの重田智さん、撮影監督の千葉洋之さんが登壇。演出、作画、撮影など多角的な視点で制作陣のこだわりが語り尽くされたイベントの模様をレポートする。
まず初めのトークテーマは「ここにも意味があった! サブタイトルとエンディングの色の秘密」。スクリーンに第1話から第12話のエンディングの各カラーが映し出される。大橋監督は「1話と11話のようにコアの色とバックの色が関係し合う形になっていて、6話で折り返しています。12話だけが特別な扱い」と色の相関関係を説明。各話の色については「作り手と受け手のイメージが違っても構わないので、好きに捉えてもらって大丈夫です」と大橋監督は語り、さらに「最終話はアッシュのイメージカラーに包まれて飛んでいく。コアが魂なので、羽が生えて自由に飛んで行くイメージです」と付け加えた。
次のトークテーマは「数か月から数年! キャラの時間経過の表現」。まずはオルフェウス・ジヴォンとマリーベル・メル・ブリタニアの設定、そして紅月カレンのカットがスクリーンに映し出される。旧シリーズのキャラクターについて島村さんは「とにかく『反逆のルルーシュ』のキャラが一番気を使いました(笑)。何回描き直したか分からないです」と苦労を口にし、「ロゼとアッシュの方が描きやすかったです」と思わず本音をこぼした。続いて、枢木スザクのカットが映し出され、「元の設定自体がTVシリーズの一番若い頃のものしかなくて。そこから映画で進化しているので、どこまで踏襲して昇華して表現しなきゃいけないのかなと悩みました」と島村さんは再び難しさを語り、そこからスザクというキャラクターが当時からいかに描くのが難しかったかと振り返り話に花が咲く一幕も。その後は、エピローグで描かれた各キャラクターの成長した姿が次々と映し出され、サクラの髪型について「サクラはサクラとして自立しているのでもう影武者じゃない。サクヤとは違う感じにしたかったので、ショートにしました」と島村さんは理由を語った。
続いてのトークテーマは「手描き!? CG!? どっちのファウルバウト」。スクリーンには6枚のカットが映し出され、どれが手書きでどれがCGなのか、目の肥えた観客たちも悩む超難問が出題される。上の3枚が手描き、下の3枚がCGと明かされるも、見た目でその違いはほとんど判別不可能。上の3枚は大橋監督からのオーダーだったそうで、重田さんは「地獄でしたね(笑)」と客席の笑いを誘いつつ、「そもそも手で描くのを前提としていないデザインなので、いざ描こうと思ったら何がどこでどうなっているのやら…」と苦労を振り返った。動きは3D処理が多かった本作では実作業があまりなかったそうで、「フィルムになった時に(CGと)露骨に違わないよう気にしましたけど、上手く描けなかったかな」と謙遜する重田さん。一方の大橋監督は、「3Dだとライティングが複雑になって難しいので、重田さんの絵のムードが欲しくてお願いしています」と手描きの重要性を語った。さらに、3Dに手描きの影とハイライトを入れ直したカットもあったそうで、そこからメカアニメーターの影付けの個性などマニアックな作画トークで盛り上がった。
最後のトークテーマは「アニメの"撮影"とは これだけ変わるBefore/After第2弾!」。第3幕でアッシュとサクヤが対峙するシーン、左には未処理画面、右には完成画面が映し出される。画面の上から光が降り注ぎ、全体的に温かく柔らかい印象が増した完成カットについて、「演出さんから救済の絵にしたいと言われたので、宗教画風に仕上げています」と千葉さんが解説。光量などカットは人それぞれで変わってくるため、「自分の手元に回って来たところでまとめて調整して、シーン全体を統一しています」と撮影の大切な仕事内容を語った。続いて、ロゼの顔のアップのカットが映し出され、右の完成カットについて「光の方向をハッキリさせて、目にグラデーションを入れています。あとはマルチボケと言って手前の煙などをボカして絵に厚みを足しています」と撮影の基本的な技術を千葉さんが語る。その後も、千葉さんが「通称日焼けサロンです(笑)」と評して大爆笑を巻き起こしたファウルバウトのコックピットのカット、Zi-オルテギアとファウルバウトの戦闘シーンなど、随所にこだわりが詰まった撮影処理を語り尽くした。
イベントの最後は観客に一言ずつメッセージを伝えていく。「細かな処理をいっぱいやっているので、興味のある方は何回も劇場で観て頂けると嬉しいです」と千葉さん。「1カット1カット作るのがいかに大変か。ストーリーを楽しんだ後、2回目3回目は労力の詰まったカットの密度の濃さも観て頂けると作り手としては嬉しいです」と重田さん。「制作途中は色々なことがあったのですが、観て頂いた方に楽しんでもらえたらとても嬉しいです。劇場で何度も観て頂けるとありがたいです」と島村さん。最後は「この後もマレーシアに行ってきます。帰って来たらまた皆さんとお会いできたらいいなと思っております」と大橋監督が締め、イベントは幕を閉じた。
『コードギアス 奪還のロゼ』最終幕となる10~12話は、ディズニープラスで世界独占配信中だ。スタッフトークで気になった部分は、ぜひ配信でチェックしてみよう。