全4幕にて2024年5月より毎月連続で劇場上映中の「コードギアス」シリーズ最新作『コードギアス 奪還のロゼ』。最終幕の上映が間近に迫る2024年7月30日(火)、新宿バルト9にて『コードギアス 奪還のロゼ』第3幕スタッフトークイベントつき上映が開催された。本編上映後のトークショーには大橋誉志光監督、キャラクターデザインの島村秀一さん、チーフ演出の石井章詠さん、色彩設計の忽那亜実さん、美術監督の小幡和寛さんが登壇。貴重な資料の数々と共にスタッフのこだわりがたっぷりと語られたイベントの模様をレポートする。
最初のトークテーマは「ロゼとアッシュのゆかいな仲間たち!! 一緒に暮らすCats&Dogs」。ロゼとアッシュがトレーラーで飼っている犬猫たちがスクリーンに映し出され、ここでいきなりクイズがスタート! 柴犬のかんじ、フレンチブルドッグのロック、コリーのリック、エキゾチックショートヘアーのブッチャー、メインクーンのフランソワーズとアンドレの共通点とは? 観客の1人が「プロレスラー」と見事に正解! 大橋監督は「本当の弟(ニコル)は体が弱い設定でしたので、犬猫たちは丈夫なイメージの名前がいいなと思いつけました」と解説。さらに、「フランソワーズは途中でメスだと分かったので、『ベルサイユのばら』のアンドレのイメージからオスカル、そのままだと男の名前なのでフランソワーズにしました」と補足した。そこから若い観客には難しい昭和のプロレストークが広がり、ブッチャーだけに声優をつけた大橋監督のこだわり話も飛び出した。
次のトークテーマは「第3幕のデザインのこだわり」。拘束された皇サクヤがスクリーンに映し出されると客席から思わず笑い声が。島村さんは「代々伝わるものなので基本的には前シリーズからの引用ですが、今回はさらにキツめにしました(笑)」とコメント。ラフをチェックした石井さんは「体のラインを見せたいので太もものベルトを増やしました。お願いしたら何でも通る現場なので良かったです(笑)」と笑顔で語った。続いて、『コードギアス 亡国のアキト』(以下『亡国のアキト』)のアキト、レイラ、アヤノ、ユキヤ、リョウのキャラクター設定が映し出される。「一瞬しか出てこないのでパッと見て気づいてもらえるよう意識しました」と島村さん。当初は『コードギアス 反逆のルルーシュ』も『亡国のアキト』のキャラクターも出すつもりはなかったそうで、大橋監督は「ああいう状況になって誰も何もしないのは逆に不自然。まだ出ていないキャラクターもいるので、次に出るかもしれないし、出ないかもしれない。お楽しみに」と曖昧に語り、観客の笑いを誘った。
続いてのトークテーマは「こんなにあったの色パターン!! こうしてキャラクターの色は決まったんです」。色彩設計の仕事について「キャラクターの固有色と、演出の意図に合わせて背景などの色をどうやってシーンに合わせるかを決めています」と忽那さんが説明。スクリーンにはロゼのキャラクター色パターン候補と決定稿が映し出される。髪色については「サクヤが黒髪なので、黒が映える明るめの色がいいかなと。候補の中でより明るい金髪に決まりました」と大橋監督が解説し、服の色については「主人公なので目立つ色。カーキは馴染むので、探っていって最終的に茶色になりました」と忽那さんが理由を語った。続いて、アッシュのキャラクター色パターン候補と決定稿がスクリーンに映し出される。忽那さんは「アッシュという名前から金髪のイメージはなかったような気がします。青や銀など色々出しましたが、ロゼに合わせてアッシュも金髪になりました」と色彩の意図を語った。さらに、第3幕で復活したアーノルド・レンクがスクリーンに映し出されると、客席から拍手と笑い声が鳴り響く。忽那さんは「アインベルクなので白と黒をベースに考えていましたが、木村(貴宏)さんから戻ってきたのは白髪と赤。目立つキャラになったんじゃないかと思います」と満足気に語った。
そして4つ目のトークテーマは「小物で見せるキャラクターの関係性」。まずは演出の仕事について「各話数の小さな監督、責任者だと思ってやっています」と石井さんが説明。スクリーンには石井さんが寵愛しているというアーノルドの副官(副団長)、エドガー・アンソニー・クレムの初公開資料が映し出される。アーノルドが紅茶を出されるシーン、1回目は所長の部屋で出された紅茶、2回目は控室で副官が出した紅茶、2つのシーンの違いを例に挙げ、「所長が用意したティーセットにはスプーンがついていますが、2回目にはありません。アーノルドは紅茶をストレートで飲むキャラクターと考えていたので、彼の好みを分かっている副官は何もつけません」と細かな演出の意図を解説。さらに「アーノルドは所長に心を許していないので1回目は全く手をつけていませんが、2回目では飲み切っています。語られていないけどキャラクターの関係性は繋がっているので、小さなことを積み重ねてキャラの深みを出せたらいいなと思っています」と演出の大切な役割を伝えた。
最後5つ目のトークテーマは「ロケハンから生まれたこだわりポイント」。美術監督の仕事について「キャラクター以外の空間を描いています」と小幡さんが簡潔に説明。スクリーンには本作の舞台となる北海道のロケハンで撮影された写真とそれをもとに作られた資料が映し出される。出身の大橋監督から北海道についてのレクチャーを受けるも感覚がつかめなかった小幡さんは「実際に行くと言っていることの意味が体感できて、土地の魅力や特徴を表現できたのかなと思います」とロケハンの重要性を語った。さらに「北海道は実際に行ってみると本当に広くて。街から街への距離感も、自然のスケールも全然違う。第3幕でも函館での戦闘の後にアッシュが移動するんですけど、たぶん凄まじい距離を移動している(笑)」と続けた。
イベントも終盤に差し掛かり、登壇者たちが観客に一言ずつメッセージを伝えていく。「まだ最終幕があるので楽しんで観てもらえたらと思います」と小幡さん。「どういう色で見せれば一番伝わるかを考えて作っていますので、ぜひ色に注目して観て頂ければと思います」と忽那さん。「キャラクター同士の関係性の小ネタを色々入れていますので、ぜひ最後まで観て頂いて、もう一度第1幕から観返して頂けると嬉しいです」と石井さん。「最終幕でもこういう会が催されると思いますので、その時はぜひお越しください。最終幕もよろしくお願いします」と島村さん。最後は「最終幕を観終わった皆さんの感想をこっそり見たいなと思っています。また次回も遊びに来てください」と大橋監督が締め、イベントは幕を閉じた。
『コードギアス 奪還のロゼ』第3幕となる7~9話は、ディズニープラスで世界独占配信中だ。スタッフトークで気になった部分は、ぜひ配信でチェックしてみよう。