コードギアス 奪還のロゼ

TALK REPORT

『コードギアス 奪還のロゼ』第1幕
スタッフトークイベントつき
上映レポート

『コードギアス 奪還のロゼ』2024.05.27スタッフトーク

全4幕にて2024年5月より毎月連続で劇場上映中の「コードギアス」シリーズ最新作『コードギアス 奪還のロゼ』。第2幕の上映が間近に迫る2024年5月27日(月)、新宿バルト9にて『コードギアス 奪還のロゼ』第1幕スタッフトークイベントつき上映が開催された。本編上映後のトークショーには大橋誉志光監督、キャラクターデザインの島村秀一さん、メカニックデザインの重田 智さん、撮影監督の千葉洋之さんが登壇。貴重な話が次々と飛び出したイベントの模様をレポートする。

今回のトークテーマは、各人が語るマニアックなこだわりポイント。大橋監督のテーマは「Zi-アポロとZi-アルテミス」。2機のデザインについて大橋監督は「今まではロードバイクが原型だと思いますが、今回は北海道が舞台なのでオフロードバイク感を出したくて。スピードに全振りしている機体なので、重量もナイトメアフレームとしては最軽量だと思います」と語った。続いて、スクリーンにZi-アポロとZi-アルテミスに彫られた細かな模様が映し出され、「中世の騎士は甲冑や武具にエングレイビングと呼ばれる装飾を施すのが身嗜みとしてありました。今までもやりたかったのですが、複雑な模様を描けと言うと、僕が現場の人に刺されてしまうので…(笑)」と冗談を交えながら大橋監督は説明し、「今回は3Dなのでいけるのではないかと。本職の方にお願いしているので、古式ゆかしいパターンになっています」と続けた。その後もアポロは太陽、アルテミスは月、ギリシア神話からのモチーフなど、今後の展開を予感させる興味深い話が飛び出した。

Zi-アポロとZi-アルテミス拡大する

島村さんのトークテーマは「木村貴宏さんのこだわりとキャラクターデザインの秘密」。スクリーンにキャラクターたちが並び、向かって右側は木村さん、左側は島村さんのデザインであることが明かされた。まず作品に参加することになった経緯について「想定よりもキャラクターが増えてしまって手伝ってほしいと言われたので、七煌星団やその他のキャラクターを描きました」と島村さん。「僕が描いたものを木村さんに見てもらって、そこで上がってきたものをフィードバックして合わせていく予定だったのですが、最終的に僕が全部やることになったので物凄くプレッシャーはありました」と島村さんは胸中を吐露。どのキャラクターが一番プレッシャーだったかとの質問に、島村さんは「キャサリン(・サバスラ)ですね(笑)」と返答。色まで指定されていたのはキャサリンだけだったそうで、「全てにおいて木村さんの想いが詰まったキャラクター」と島村さんは語った。その後はロゼのお下げの長さを統一する苦労話など、作画サイドから様々な裏話が語られた。

木村貴宏さんのこだわりとキャラクターデザインの秘密拡大する
木村貴宏さんのこだわりとキャラクターデザインの秘密拡大する

重田さんのトークテーマは「メカの演出について アクションスタントとスケート Zi-アポロの動きはどうできたのか」。今回の作業は「3Dの方から上がってきたものを見て、修正の方向や細かな部分を指示するのがほとんどだったので作画することが一切なく、来場者プレゼントでイラストを頼まれたときは、実際に描いてないからどんなデザインだったか分からなくて(笑)」と、いつもと違う仕事内容に苦労した様子の重田さん。現場では「映像を見ながらあれこれ言葉で説明して、伝わらないと直接モニターを指差して、最終的には目の前でアクションをしたり、レイアウト用紙に構図をざっと描いてみたり」と試行錯誤し、実際の修正指示がスクリーン上に映されると、重田さんは少し恥ずかしそうにしながら、「言葉で通じれば一番いいのですが、アニメ的な嘘も含めて描くのが一番手っ取り早い」と説明した。その後は、アクションや特撮を得意とするJAE(ジャパンアクションエンタープライズ)の俳優やスケート選手の動きを撮影して、Zi-アポロのアクションシーンの参考にしたエピソードなどが大橋監督の口から語られた。

アクションスタントとスケート!?アポロの動きはどう出来た?拡大する
アクションスタントとスケート!?アポロの動きはどう出来た?拡大する

千葉さんのトークテーマは「アニメの撮影とは これだけ変わる Before/After」。スクリーンにはロゼとアッシュが立つ第1幕のキービジュアルが2枚映し出され、左側に完成前のシンプルなver.、右側に撮影処理が入った完成ver.が並ぶ。続いて、Zi-アポロのシーンが3枚表示され、左上に3Dチェックver.、右上に背景やエフェクトを載せたver.、下に撮影処理を入れた完成ver.が映し出される。撮影処理の重要性が視覚的に観客へ伝わったところで、大橋監督が「結構アドリブを入れていますよね」と振ると、千葉さんは「『反逆のルルーシュ』や『亡国のアキト』は撮影処理の規制が厳しくて(笑)。『奪還のロゼ』に関しては許可が出たので、自分が思う形で全編やらせてもらっています」と語った。その後は皇サクヤがギアスをかけるシーンやヒース・ロットが自害する場面の撮影処理、サクヤとサクラの黒目の輪郭の違いなど、マニアックな視点で第1幕を振り返っていった。

これだけ変わる Before/After拡大する
これだけ変わる Before/After拡大する
これだけ変わる Before/After拡大する
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木村貴宏さんのこだわりとキャラクターデザインの秘密拡大する

イベントの最後は観客に一言ずつメッセージを伝えていく。「見て、考えて、聞いて、楽しめる作品だと思うので何度もリピートして見てもらえると嬉しいです。本日はありがとうございました」と千葉さん。「今回は攻めた形でメカシーンが作れたのではないかなと思います。何度も観て頂けると、時間をかけて作った甲斐があるので、ぜひ楽しんでください」と重田さん。「『ギアス』というと美男美女ばかりが目立ちがちですが、今回はおじさんも多いので、その辺も観て頂けると嬉しいです。今後もよろしくお願いします」と島村さん。最後は「第2幕は折り返しになるので、メカ戦は盛り盛りです。もうすぐ観られますので、期待してください」と大橋監督が締め、イベントは幕を閉じた。

『コードギアス 奪還のロゼ』第1幕となる1~3話は、ディズニープラスで世界独占配信中だ。スタッフトークで気になった部分は、ぜひ配信でチェックしてみよう。