――『コードギアス 反逆のルルーシュR2』が終了して1年余り。黒石さんは、最終回『Re;』をどんなふうに受け止められましたか?

○黒石
まず、シナリオを読ませていただいて、ルルーシュの選んだ結末を知って、私自身とても悲しくなりました。
そしてこれは番組を応援してくださっているファンの方もきっとすごいショックだろうと。
もしかすると打ちのめされて学校に行けない人もいるんじゃないかとも思いました。
だから私も含め、そのショックから立ち上がって次にいけるような曲を作りたい、と思って書いたのが、ラストで流れた「Continued Story」だったんです。音楽表現は、映像や台詞に出来ない部分を、感じてもらう役目があると思います。
ルルーシュが死んで残された自分たちは悲しいけれど、生きていればいつかまた会えるかもしれない、そんな希望をファンの方に感じて欲しいと思いました。

――すると「Continued Story」は、最初からラストに流れる予定だったんでしょうか?

○黒石
いえ、これは挿入歌だけでなくBGMもそうなんですが、谷口(悟朗)監督からは「このシーンでかけたいから」という注文がくることはないんです。楽曲を聞いて、それにふさわしい使い場所を考える、という感じで。
でも、私としてはそういう感触が心地よい部分もあるんです。曲作りは1人の作業なんですが、谷口監督ほかのクリエイターの方と見えない糸で繋がっているような感覚があって。だから「Continued Story」も、私は最終話のイメージで書きましたが、書いている時点ではどこにかかるかはまだ決まっていませんでした。

――それが最終的には、黒石さんのイメージ通りに使われることになったわけですね。

○黒石
そうですね。幸い、最終話のダビング(映像にセリフ・音楽・効果音をはめていく作業)にも立ち会わせていただける機会があって、セリフと歌詞が重なってしまうところがあれば、曲のほうを修正したりして詰めていくことができました。
造語を増やしたり編曲し直したり時間も掛かりましたが、悔いのない充実感のある作業になりました。
その反動か、最終話のオンエア後、1ヶ月くらい虚無感におそわれたんですけれども。

――「Continued Story」が非常に印象的だったのはそういう理由があったからなんですね。
挿入歌というと、ファンの中では「Stories」「僕は、鳥になる。」に強い印象を持っている方も少なくないと思います。


○黒石
今思うと「Stories」は「Continued Story」とは対照的な作り方でしたね。「Continued Story」は最後に出来た曲で、『無印』から『R2』を通して曲作りをしてきて、自分なりに作品世界を掴み書きあげた曲なんです。
でも「Stories」は挿入曲としては一番最初に書いた曲で、「『コードギアス』という作品はこういう作品です」という説明だけを手がかりに作ったものなんです。ギアスという瞳に宿る能力があるというので、瞳を見ることで、扉が開いて物語が始まる―という歌詞は、『コードギアス』という物語が始まるという紹介的な意味でもありました。
でもこの曲が、作品に受け入れてもらえるのか、その頃は全くわかりませんでしたね。

――では「僕は、鳥になる。」のほうは?

○黒石
こちらはまずメロディありだったんです。ロロの持っているロケットから流れるオルゴールの曲として、どんな曲調がいいだろうかと考えて。ロロという人物を考えると、切なく歌えるようなメロディで覚えやすいことを念頭に作りました。
そこから挿入歌に発展して。私は毎回違うイメージの曲を作りたいと思っていまして、「僕は、鳥になる。」は、はかないだけでなく、間奏でちょっと管楽器を入れて少し力強いイメージも出しているんです。これは絵コンテを読んだら、ロロのお墓の前でルルーシュが立ち上がる場面があったので、そこのイメージから出来た部分です。

――さて、そして、12月5日のイベントですがどのような内容になるのでしょうか。

○黒石
ステージのお話をいただいた時は、私はまず、このような大きなイベントに私でいいのかな、と思ったんです。
でも『コードギアス』を通じていろいろな方が私の曲を知ってくださり、いろんな反響もいただいたので、今回のイベントについてはやらせていただこうと決めました。

――ステージの内容は決まっているのでしょうか?

○黒石
今、異空間、神秘的な雰囲気を感じさせる演出にしたいなと、打ち合わせをしているところです。
ファンの方と、一緒に楽しめて、忘れられないステージにできればと考えています。

――ありがとうございました。