一つの作品が完成するには、多くのスタッフの力が必要となる。『コードギアス 反逆のルルーシュ』もまた例外ではない。さまざまなプロフェッショナルの力が一つの結晶となり、『コードギアス』という作品に輝きを宿らせたのである。

メカとキャラクターにそれぞれ作画監督が立ち、別にクレジットされるようになって、およそ四半世紀。だからこそメカ作監として中田栄治がこだわっている部分がある。
「キャラクターとメカを描いている人が別人だって気づかれたくないんです。やっぱりそういうのは世界観がブレるというか、興ざめじゃないですか。『コードギアス 反逆のルルーシュ』では千羽(由利子)さんがキャラクター作監の時に、メカ作監をやることが多かったものですから、そういう時はできるだけ千羽さんの作画のテイストに近づけるように努力しました。隣の机が千羽さんですから、後からのぞき込んで、どんなテンションで描いているかなぁというのを探って参考にしたりしましたね(笑)」

 そんな中田の描くメカについて、千羽は「ナイトメアフレームがちゃんとお芝居をしているんです」と評する。また中田は、作画打ち合わせの時に「このランスロットは、中にスザクがいるつもりで描いてください」といううように原画マンに指示を出すこともあったという。

これはつまり、ロボットに過ぎないナイトメアフレームもまた「キャラクター」として描かれている、ということだ。
そしてその部分こそが、アニメーターがメカを手描きする最大のメリットであり、魅力なのだ。

「アニメのロボットというのは、基本ありえないものですよね。でも、あり得ないからこそキャラクターの持っている印象をポイントポイントで入れて、キャラクターとして見せることで、作品としての一体感が出てくると思うんですよ。たとえば蜃気楼が腕を振る時は、ルルーシュ本人みたいに、手の先を少し残しながらアクションさせるとか。逆に、蜃気楼をロロが操縦した時は、どことなくロロのヴィンセントを頭に置きながら蜃気楼を描いたんですよ。やりすぎると悪目立ちをしちゃうんでさじ加減は必要ですが、そういう味付けをすることで、その時の雰囲気みたいなものが絵になればなぁと」



 趣味は自転車という中田。ただし『コードギアス』制作中は、通勤ぐらいしか自転車に乗る時間がなかったという。
「自転車は体一つでどこへでも行けるところがいいですね。実は僕は体が弱かったんですが、自転車を始めてからずいぶん健康になったんですよ。ジムに通うぐらいなら峠を走れ、といいたいですね(笑)」
 パワフルな作画の影に、自転車あり、なのだ。