2021年10月に、TVアニメ放送開始より15周年を迎えた『コードギアス』シリーズ。この度、ルルーシュの誕生日(12月5日)を記念した上映会イベント「15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ お誕生日おめでとう上映会」が、2022年12月4日(日) 、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて開催された。およそ3年ぶりの開催となる本上映会では、『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』TURN24・25の上映後に、ルルーシュ役の福山 潤さん、谷口悟朗監督、シリーズ構成・脚本の大河内一楼さん、プロデューサーの河口佳高さん、湯川 淳さんら豪華ゲスト陣が登壇。ここでしか聞けない貴重なトークが繰り広げられた。
司会のバンダイナムコフィルムワークスの谷口(廣次朗)さんの進行のもと、まずは『コードギアス』が生まれた経緯を振り返った。当時TVアニメ『プラネテス』(2003年10月〜2004年4月放送)の放送が終わる頃、プロデューサーの湯川さんが河口さんへ「売れるものを作ろう」と声を掛けて、大河内さんとともに勉強会を開いたのが始まりとのこと。『プラネテス』の制作がひと段落したころから谷口監督も勉強会に参加し、「スタッフの生活を守るためにも、売れる作品を作る必要がありました。何をどうすればいいのかわからない状態の中、具体的にお客さんが求めているものや、客層などから考えていきました」と振り返った。当初の構想では13歳から15歳くらいまでの少年少女たちをメインターゲットにしたロボットアニメだったが、放送が深夜になると決まってからは、王道よりは少し変わった作品にしようという話になったという。大河内さんは「深夜アニメはグッズ化も難しくて、深夜アニメになると分かった途端、企画会議に参加する人数がグッと減ったのを覚えています」と語った。商品化が難しいなら、ロボット要素を無くそうという話も出たとか。また、勉強会はコンビニ跡地の底冷えする寒い場所で始まったことから、まるで制作陣は「黒の騎士団」のようだったという話も飛び出すなど、当時の制作秘話が語られた。
その後、雑誌の版権イラストで目立たせるためにナイトメアフレーム「ランスロット」の色を当初の白色から赤色に変えたことや、1期のアニメ制作でスタッフの疲労がピークになった際、谷口監督が「8話で終わりにできないか」と提案していたことなどが明かされ、ファンを驚かせた。また、芝居に影響が出ないよう、キャストには先の展開は伝えない谷口監督の流儀も話題になり、放送当時次回予告を担当していた福山さんは「伝えられる情報がないので大変だった」と語った。
続いて、続編となる『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』から放送時間が夕方に変わったことについて触れられると、大河内さんは「初めて作品を観るお客さんも意識しつつ、監督やプロデューサーの意見を取り入れながら脚本を修正していった」と語った。河口さんから「当初はルルーシュがスザクに勝つパターンもあった」との話には、福山さんも「初耳です」と驚いた。ルルーシュが海賊になったり、深海に捉われたルルーシュをみんなが潜水艦で迎えに行ったり、いろいろなパターンの構想があったとのこと。
次に『コードギアス 反逆のルルーシュ』の劇場総集編3部作の制作が決まった時の気持ちについて、福山さんは「正直すごく嫌でした」と話した後、「3部作が制作されることが嫌なのではなく、当時と同じ演技ができないからです。谷口監督からは先の展開を知るなと言われていたのに、今度は先の展開を知っているので。演技面でも10年経てばできることが増えているので、今できる限界値を出そうとしたら谷口監督に怒られて、それはそうだなと思いました」と笑いながら語った。
次に「ルルーシュ」というキャラクターについて振り返り、福山さんは当時周りから性格が似ていると言われたことについて「すごく不本意でしたが、15年経って、ルルーシュと近い部分が分かりつつあります」とコメント。「彼はすごくブレるけれど、行動はブレない。天然なところや抜けているところがあって完璧ではない分、いろんな人の感情を動かしているのでは」と分析した。大河内さんはルルーシュのキャラクター像について、「思った通りにいった部分が半分、もう半分は、他の脚本家さんや役者さん、演出家さんが付け足してくれました。僕だけだともうちょっとクールな感じでしたが、皆さんのおかげで可愛げのある良いキャラクターになったと思います」とコメント。谷口監督は「自分はもう作品を作り終わった立場なので、ファンの皆さんにルルーシュというキャラクターをお渡ししたという気分です。ルルーシュはこんなことを言わない、しないという意見はもちろんありますが、結果としてルルーシュが今も愛されていて良かったです」と語った。
話が尽きない中、12月5日に誕生日を迎えるルルーシュに向けて花束が贈られた。バースデーソングが流れる中、ルルーシュに代わり福山さんが谷口監督から花束を受け取ると、「谷口監督から花束を贈られると、引退おめでとうと言われているみたいなんですが……」と冗談交じりに話し、会場は誕生日をお祝いする祝福の拍手に包まれた。その後、新商品の発売が発表されると、会場は喜びと驚きの拍手が沸いた。また、既に公式サイトで発表されている「コードギアスNext 10years Project」となる新作アニメ『コードギアス 奪還のゼット』については現在鋭意制作中とのこと。こちらは続報に期待して欲しい。
最後に、会場のファンへ向けての挨拶の中、福山さんは「声優という立場で皆さんを15年も楽しませることができて、それを実感できる機会を頂けたことが本当に幸せだと思います。ここまでくると、皆さんは視聴者ではなく、作品を支えてきてくれた仲間です。皆さんの中に作品が色濃く残っているということは、言葉にできないくらいの高揚と感謝の気持ちでいっぱいです。これからも『コードギアス』というシリーズは続いていくと思います。その中でオリジンとして『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズも変わらずに愛して頂ければと思います。今後送り出される作品も、皆さんにパワーを与えられるように私もできることをやっていきたいと思いますので、これからも末永くご愛顧頂けますと幸いです」と語った。15年を経た今も多くのファンに愛されるルルーシュの「お誕生日おめでとう上映会」は幸せな余韻を残して幕を閉じた。
なお、福山さんのスペシャルインタビュー記事も公開!
https://v-storage.bnarts.jp/talk/interview/198164/レポートと併せて、ぜひこちらもチェックしてください。